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2019/0513

節税対策

住宅資金 親から贈与はどのように受け取るべきか?

住宅購入のタイミング、大きな買い物であるため、親から資金援助を受ける人も多いかと思います。
資金を受け取った際は贈与税について考慮しておかないと、後で高額の税負担をすることにもなりかねません。ここでは、そんな贈与税について詳しく解説していきます。

●暦年贈与
暦年(1月1日~12月31日)ごとに贈与を行い、その贈与額が年間110万円以下であれば、
贈与税がかからない制度のことです。
この110万円という非課税枠は、贈与を受ける者を基準として計算され、直系尊属であることなどは問われません。
この金額範囲内で受け取ったお金については資金用途に制限はないため、
住宅資金だけでなく、住宅購入の初期費用・引越し費用として活用することも出来ます。

●住宅購入贈与
「住宅取得資金贈与の特例」とは、自身が居住する住宅の新築、取得又は増改築等に使う資金を2021年12月31日までの間に父母や祖父母など直系尊属から贈与してもらった場合、所定の要件を満たせば、定められた枠までの金額が贈与税の課税対象とならない非課税制度です。
消費税率が8%から10%に引き上げられた場合は、「住宅資金贈与の非課税枠」が経過措置で拡大されます。
・2019年4月~2020年3月
(消費税8%)700万円(省エネ住宅等1,200万円)
(消費税10%)2,500万円(省エネ住宅等3,000万円)

適用要件は複数ありますが、特に間違いが起きやすい下記の点にご注意ください。
① あくまで直系尊属からの贈与のみ有効。例えば配偶者の親からの贈与は非課税にはならない。
② 住宅資金として活用されることが必要であるため、引渡日までに資金贈与を受ける必要がある。

●相続時精算課税制度
贈与の翌年の3月15日までに行う贈与税の申告では、暦年課税でなく「相続時精算課税」を選ぶこともできます。これは、60歳以上の父母または祖父母からの贈与について、相続までの贈与額を相続財産に加算し、納めた贈与税を相続税で精算する制度です。
当制度は「住宅取得等資金の非課税」とも併用可能であるため、大きな金額の贈与がある場合は検討されても良いかと思いますが、下記2点のデメリットがあるため、活用は相続への影響も考慮された方がよいです。

① 2500万円の特別控除額分は相続財産に加算され、相続時に相続税で精算されるため、非課税ではなく、税金の繰り延べとなる。(贈与税と相続税の税率は異なるため、単純な繰り延べとはならない)
② 相続時精算課税を選ぶと、贈与した親との間で暦年課税の基礎控除は使えなくなる

多額の資金贈与を検討している方は、消費税増税のタイミングを考慮するか、相続時精算課税制度の活用を検討されるのも効果的です。