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2019/0325

その他

所得税・配偶者控除・社会保険・・それぞれ異なる所得の基準

2018年1月に配偶者控除が見直された。
なんとなく聞いたことはあるけど、結局自分の働き方にどのような影響があるの?という方も多いと思います。
ここでは複雑怪奇で分かりづらい、それぞれ異なる所得の基準について簡単にポイントを解説します。

●配偶者控除、配偶者特別控除
夫が世帯主、妻がパートで働いている前提とします。
配偶者控除とは、妻の収入によって、配偶者が38万円の控除を活用することが出来、税金を減らすことが出来る制度です。
配偶者特別控除とは、妻の収入が高くなってしまっても、ある金額からいきなり控除が使えなくならないように、段階的に控除額を減らしていく制度です。

(改正後のポイント)
・38万円を使うためには妻の年収が150万円以下
・妻の年収が150万円~201万6千円未満なら、3~36万円が控除
・夫が合計所得金額900万円以下(給与収入が1,120万円以下)
・夫の合計所得金額が901万円~1,000万円(給与収入が1,120万円~1,220万円)は上記より控除額が少なくなる。
・夫の合計所得金額が1,000万円(給与収入が1,220万円)だと控除なし

妻が働く収入については今までより金額が増え、働き方をえらびやすくなりましたが、
新たに夫の収入によって制限が設けられたため、共働き世帯の中にはダブルパンチをくらってしまう家庭もあるかもしれません。

●社会保険
社会保険には医療保険・年金保険・労働保険・介護保険などがあります。
社会保険に関しては上記改正とは関係なく、収入が130万円を超えた場合夫の扶養に入ることができなくなります。
また、例えば1ヶ月凄く頑張っていつも以上に稼いだ場合や、従業員数の多い会社にお勤めの場合には別の基準により扶養から外れてしまうことがあります。
主なケースとしは下記です。
1) 従業員501人以上の会社で勤務している、もしくは従業員500人以下の会社で勤務していても社会保険に加入することについて労使で合意がなされている場合
2) 1週間あたりの決まった労働時間が20時間以上であること
3) 1ヶ月あたりの決まった賃金が88,000円以上(年収が106万円以上)であること
4) 雇用期間の見込みが1年以上あること
5) 学生でないこと

また例えば妻が不動産を相続して、賃料収入を得る場合などはさらに注意が必要です。
収入の基準が、健康保険組合によって異なるためです。
例えば・・
A組合:賃料収入-経費(管理費、修繕積立金、固定資産税など)
B組合:賃料収入-経費(固定資産税のみ)
どちらの組合かによって扶養が外れてしまうかどうかが変わってしまいますので、事前確認は必須です。
ちなみに基本的にどの組合でも、減価償却費や青色申告控除は対象外となっております。

●ついでに・・
収入基準として分かりづらいのが、「児童手当」と「小児医療」の所得制限。
児童手当は、基本的には所得額で計算がされますが、扶養親族が多いもしくは老人扶養親族がいる場合は所得制限の金額が高くなります。
小児医療については、市区町村によって異なりますが、基本的にはここも所得で計算されます。
ただ、地域によっては一部社会保険料や医療費控除、扶養控除を所得から差し引ける場合もあります。
中には小規模企業共済等掛金控除額も所得から差し引けることがあり、その場合にはiDecoを活用することで所得制限にかからないように調整することも出来たりします。

せっかく頑張ったのに、思わぬ損をしてしまった・・
こんなことが無いよう働き始める場合、新たな資産を持たれる場合は一度確認を頂くことが必要です。