009

2018/0305

節税対策

ご自宅の買い換え時に活用できる「特例」と「注意点」

ライフスタイルの変化によって、将来選択するかもしれない自宅の買い換え時。

その時の市況によっては、現在居住しているご自宅の売却で譲渡益が出るケースも。
今回は、そんなときに活用できる「特例」と「注意点」についてお伝えしたいと思います。

【活用したい3 つの特例】

①3,000 万円特別控除
自分が居住の用に供している居住用 財産を売却した場合には、その譲渡所得から最高
3,000 万円の特別控除額を控除することができます。 譲渡所得が3,000 万円に満たない
場合には、特別控除額はその譲渡所得の 金額が限度となります。 この特例は所有期間の
⻑短に関係なく適用できますので、マイホームを売却しても、譲渡所得が3,000 万円以下で
あれば、確定申告をすることにより税金は発生しません。

②買い替え特例
特定のマイホーム(居住用財産)を、平成27 年12 月31 日までに売って、代わりのマイ
ホームに買い換えたときは、一定の要件のもと、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べる
ことができます。

③軽減税率の特例
売却年の1 月1 日において所有期 間が10 年を超える居住用財産を 売却した場合には、
3,000 万円特別控除を差し引いた後の⻑期譲渡所得について軽減税率を適用することが
できます。3,000 万円特別控除との併用は可能ですが、買い換え特例との併用は出来ません。

【注意すべきポイント】

①適用要件
下記のようなケースは特に見逃されやすく、それによって何百万円もの税金をかせられか
ねない事例です。
・売却不動産に居住していない親族の名義が入っていて、その親族の持ち分に対する譲渡益
には、3,000 万円特別控除が使えなかった。
・「買い換え特例」を適用すべく、2002 年7 月に所有開始した不動産を2014 年 8 月に売
却したが、売った年の1 月1 日 において売った家屋やその敷地の所 有期間が共に10 年を
超えていないため、特例の適用が出来なかった。

②住宅ローン控除との併用
「3,000 万円特別控除」と「買い換え特例」はいずれも住宅ローン控除との併用が出来ませ
ん。 売却益が少ない場合、安易に特例を適用するよりも住宅ローン控除の恩恵を受けたほ
うが特になるケースもありますので、比較検討が必要です。

③買い換えの特例はあくまで「課税の繰り越し」
買い換えの特例は税金が「控除」されるわけではなく、「将来に繰り越されているだけ」で
ある点には注意が必要です。 例えば、マンションを売却し、新たにマンションまたは⼾建て
を購入した場合、買い替えに充当した分の金額については、「譲渡がなかったもの」とみ
なされ、課税されませんが、買い換えた物件を再度、売却したときには、原則として繰り
越しされた 分に対してまとめて課税される、ということになります。

【FP古賀の視点】
買い換え時、譲渡益が発生する場合は、下記のstep を踏むことが最善を導くためには必要
です。
①譲渡益の金額と納税金額の把握
②特例の適用が可能かどうかを確認
③特例適用・住宅ローン控除・個々の資産状況を踏まえた上で選択肢の検討
少しの思い違いが大きな負担になりかねません。
いずれも精緻な検証が不可欠なため、専門家へ依頼をするのがベターです。