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2017/1103

その他

宅地建物取引業法の改正について

2018年4月から改正宅地建物取引業法が施行されます。
今回の最も重要な改正点は、既存住宅の売買にあたり、ホームインスペクション(住宅診断・建物状況調査)について宅建業者に義務が発生することです。
また、中古住宅を購入する際は今までと何が変わるのでしょうか。
一つずつ確認していきたいと思います。

まず、今回の改正は、消費者が安心して中古住宅を購入できるよう、住宅の質に対する情報提供を充実させようという意図があります。
ただし、中古住宅は個人の売主が多い為、個人に多くの負担を求めることは難しいので、専門家が建物の状態を診断するインペクションを活用しようとしています。

【宅建業者の義務】
1.売主から媒介の依頼を受けたときは、建物状況調査を実施する者の斡旋について説明すること(法34条の2)。
  ひいてはホームインスペクションを実施する検査事業者を紹介するかどうかを説明することとなり、結果としてホームインスペクションについても説明を求められると考えられます。

2.重要事項説明書の中で、売買対象の既存住宅が建物状況調査を実施しているかどうか。実施している場合は、 その結果の概要について説明することとなります。(法35条)

3.不動産売買契約書の中に、対象となる既存住宅の構造耐力上主要な部分等の状況について売主買主双方が確認した内容を明記すること。(法37条)

以上が重要な改正点となりますが、これによって今まで任意で実施されていたホームインスペクションについて広く認知される事になり、売主買主双方が利用選択の余地が生まれ一層普及するものと考えることができます。
またホームインスペクションが普及することにより、住宅取得予定者の資金計画に影響を及ぼす事となる点は、以下の3つです。

①建物価格の見直し…ホームインスペクションが普及する事により、建物の性能品質・状態の差が明らかになり、築 年数に関係なく建物個別の価値が評価される事になります。
②既存住宅売買瑕疵保険の利用…買主が既存住宅を購入した後に雨漏りなどの瑕疵を発見した場合、既存住宅売買瑕疵保険が付保された物件であれば、保険金で補修することが出来る制度があります。この保険を利用する場合は、対象となる既存住宅が引渡される前までに現場検査を受けて、「適合」の判定を得なければなりません。
この現場検査は改正宅建業法に定める建物状況調査に該当します。
現場検査には数万円程度の検査料が必要になりますし、保険を利用する場合には保険料も必要になります。(数万円程度)
③各種減税措置の利用…既存住宅売買瑕疵保険が付保された住宅を購入する場合は、新築後の経過年数に関わらず、登録免許税・不動産取得税・住宅ローン控除・住宅取得等資金の贈与の特例・長期譲渡所得の買換えの特例 の各種減税の適用を受けることができます。
従来なら築20年を超える木造住宅(耐火建築物は25年)はこれらの減税を受けることが出来ませんでしたが、この措置により住宅取得予定者は経済的メリットを享受することが出来ます。