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2017/0924

その他

新たな相続(争族)問題 ~「空き家対策特別措置法」~

「空き家対策特別措置法」をご存知でしょうか?
倒壊・放火リスクがある空き家・ゴミ屋敷の管理が社会問題化し、
対策を求める声が多くあったため行政の取り組みが年々強化されております。

破損が著しい物件に対しては「特定空き家」と認定され、市区町村が注視する対象となります。
認定された物件に対しては「空き家の管理を適切にお願いします」という助言や指導が入り、
改善がみられない場合、最終勧告の後、取り壊しや廃棄など、強制力をもった措置が断行されます。

この対策、実は相続(争族)との深い関わりがあります。

●問題①
特別措置法によって、行政はより踏み込んだ空き家調査が可能となりました。
例えば「固定資産税の納税義務者」の情報です。
空き家の所有者を調査する際、不動産登記情報のみならず独自に相続人などに
ヒアリング調査を行い、課税する部署が実質的な所有者や代表者を
新しい納税義務者として捕捉していることがあります。
つまり、空き家になっていたり、所有者が代替わりしていても、
底地や建物の固定資産税を納付しなければいけません。

●問題②
通常、住宅用地にかかる固定資産税は最大で6分の1に減税されています。
これまでは空き家でも適用されていましたが、これが打ち切りとなる条件が
新設されております。勧告レベルまでになりますと、固定資産税の負担がこれまでの6 倍になることもあります。
さらに、上記記載の通り、所有者に変わって行政が取り壊しを行った場合、費用は所有者負担となります。

そもそも手入れのないまま放置された空き家は、円滑な相続が行われていない
「わけあり物件」であることが多いでしょう。
こうした場合、「誰が払うのか?いくらどのように払うのか?」という議論が相続人間でなされることが往々にして発生します。

空き家・ゴミ屋敷などを相続する、あるいは既に相続したという場合、
適正に管理せずに放置しておくことのリスクはこれまでよりも格段に上がっているため、
不動産については特に、事前に被相続人が分割について、また分割後の不動産の処置に
ついては明確な意思表明を行っておくことがこれまで以上に重要度を増しております。

生前であれば、遺言書・信託など様々な選択肢で解決をすることが可能であるため、
生前に問題解決しておくことが必要です。